二階層設計・三階層設計・スパイン&リーフの違いを図解でやさしく解説【CCNA】

濃紺の近未来都市と通信の光を背景に、赤狐のレイと白いオコジョのハク。「2階層・3階層、スパイン&リーフ、何が違う?」の文字 CCNA

ネットワークの勉強で出てくる「二階層設計」「三階層設計」「スパイン&リーフ」。図を見ると、どれもスイッチが上下に並んでいて、違いがつかみにくくありませんか?

特に混乱しやすいのが、スパイン&リーフも、基本形は2層構造だという点です。「二階層と何が違うの?」となりますよね。

この記事では、最初に役割を整理してから、同じ通信がどんな道を通るのかを見ていきます。設定コマンドを覚える前に、設計のイメージをつかみたい人向けです。

先に結論
二階層:コアと集約の役割をまとめる。
三階層:接続・集約・中継の役割を分ける。
スパイン&リーフ:端末を収容するリーフを、全スパインへ接続する。

この記事の「二階層」は、キャンパスLANで使われるコラプストコア型を指します。「2層」という言葉そのものはもっと広く、スパイン&リーフも含みます。ネットワーク構成の話であり、Web・アプリ・DBを分けるアプリケーションの三層構造とは別です。

まず「階層」は、スイッチの台数ではなく役割の段

三階層設計の基本になるのは、次の3つの役割です。会社のネットワークを例に考えてみます。[1]

役割 何をする? イメージ
アクセス層 PC、無線AP、IP電話などをネットワークへ接続する 各フロアの入口
ディストリビューション層(集約層) アクセス層を束ねる。設計に応じてルーティングや通信ポリシーの境界も担う 建物ごとのまとめ役
コア層 複数の集約層どうしを高速・安定的につなぐ 建物間の幹線道路

たとえばアクセス層にスイッチが10台あっても、それだけで「十階層」にはなりません。同じ役割の段に並んでいれば、アクセス層という1つの階層です。

また、ここでいう「3階層」の3は、OSI参照モデルの「レイヤー3」の3とも別です。ネットワーク全体の役割分担と、装置がどの通信階層で動くかは、別の軸で考えます。

二階層設計:コアと集約を1つの層にまとめる

二階層設計は、先ほどのコア層とディストリビューション層を統合し、その下にアクセス層を置く構成です。統合した上段は「コラプストコア(Collapsed Core)」と呼ばれます。[1]

上段のコア兼集約スイッチ2台に、下段のアクセススイッチA・B・Cがそれぞれ接続された二階層設計の概念図
二階層設計。コアと集約の役割を同じ層にまとめる。

「建物ごとのまとめ役」と「建物間の幹線道路」を、同じ層に受け持ってもらうイメージです。上段が冗長化のために2台あっても、役割の段は増えません。

どんなときに使う?

たとえば単一の建物など、規模が比較的小さく、上段の装置で必要な接続数・通信量を扱える場合に検討できます。層を分けるための機器や接続が減るので、構成をシンプルにしやすい設計です。

一方、アクセススイッチや外部接続が増えると、上段へ役割が集中します。ポート数、処理性能、障害の影響範囲、建物間の配線を見て、層を分ける必要がないか考えます。「小さければ必ず二階層」という決まりではありません。

三階層設計:集約層どうしを、専用のコアでつなぐ

三階層設計では、アクセス・ディストリビューション・コアを別の層に分担させます。

コア、集約、アクセスの3段を持つ三階層設計。アクセスA1から集約A、コア1、集約Bを経由し、アクセスB2に届く経路を橙色で示す
三階層設計。集約層どうしの中継をコアが受け持つ。

たとえば建物Aと建物Bに、それぞれアクセススイッチが何台もあるとします。各建物でアクセス層を集約し、その集約層どうしをコアでつなげば、建物ごとのまとまりを保って拡張しやすくなります。

集約層を、さらに別の集約層へ次々と数珠つなぎにするのではなく、コアを介して結ぶわけです。

通信の道を追ってみる

図のアクセスA1につながるPCから、アクセスB2につながるPCへ通信する例なら、次のような経路が考えられます。

PC → アクセスA1 → 集約A → コア1 → 集約B → アクセスB2 → PC

ただし、すべての通信がコアまで上がるわけではありません。同じアクセススイッチ内で転送できる通信や、同じ集約層の配下で完結する通信もあります。宛先やVLAN、ルーティングの境界によって通り道は変わります。

三階層には、建物や機能ごとに役割と障害の影響範囲を整理しやすい利点があります。その分、機器・配線・管理の対象は増えるため、「三階層なら二階層より必ず高速・安全」という意味ではありません。

スパイン&リーフ:各リーフを、すべてのスパインへ接続する

スパイン&リーフの基本形は、サーバーなどを接続するリーフ(Leaf)と、リーフ間を中継するスパイン(Spine)の2層です。主にデータセンターのネットワークで使われます。[2] [3]

リーフA・B・Cがスパイン1・2の両方に接続される構成。リーフAからスパイン1経由でリーフCへ届く経路を橙色で示す
基本のスパイン&リーフ。各リーフを、すべてのスパインへ接続する。

大事なのは、図が2段であることより、各リーフが、すべてのスパインにつながることです。図のリーフA・B・Cは、どれもスパイン1と2の両方につながっています。

基本形では、リーフ同士やスパイン同士を直接結びません。異なるリーフにつながるサーバー間の通信は、通常、次のようにスパインを1台経由します。

サーバーA → リーフA → スパイン1 → リーフC → サーバーC

スパイン2を経由する道もあります。同じリーフ配下の通信なら、そのリーフ内で完結する場合があります。また、ファイアウォールなどのサービスを途中に入れる設計では、経路が変わります。

なぜデータセンターで使うの?「東西通信」が多いから

データセンター内では、Webサーバーがアプリサーバーに処理を頼み、アプリサーバーがデータベースへ問い合わせるなど、サーバー同士が何度もやり取りします。

  • 東西通信(East–West):データセンター内のサーバー間など、内部の横方向の通信。
  • 南北通信(North–South):データセンター内と外部の利用者など、境界をまたぐ通信。

東西・南北は、地図上の方角ではありません。どの範囲をネットワークの内側と見るかに応じた、通信方向の呼び方です。

スパイン&リーフでは、異なるリーフ間を同程度の段数で結びやすく、複数の経路を活用しやすくなります。サーバー間通信が多い環境を拡張するうえで、都合のよい特徴です。南北通信も扱えます。[2]

複数の道は、ECMPで活用する

典型的なL3ファブリックでは、同じコストの経路を複数使うECMP(等コストマルチパス)を利用します。1本だけに通信を集めず、複数の通信フローを経路へ振り分けられます。[4]

ただし、ケーブルを全部つなぐだけで自動的に負荷分散されるわけではありません。装置の対応、ルーティング、ECMPの設定などが必要です。また、一般的なフロー単位の分散では、1つの通信が全リンクの合計速度で流れるとは限りません。

結局、二階層設計とスパイン&リーフは何が違う?

ここが一番ややこしいところです。「二階層」は層の数、「スパイン&リーフ」は接続の仕方と役割を含む構成名なので、そもそも完全に並列の分類ではありません。

この記事でいう二階層設計は、キャンパスLANのコラプストコア型です。スパイン&リーフも2層ですが、データセンターでリーフ間の通信を扱う構成として考えています。

さらに、冗長化した二階層設計とスパイン&リーフでは、図の配線がよく似ることもあります。線の形だけで区別しようとせず、「上段は何を担当するのか」「どんな通信をどの経路へ流すのか」まで見ると理解しやすくなります。

観点 二階層(コラプストコア) 三階層 基本形のスパイン&リーフ
役割の段 アクセス+コア/集約 アクセス+集約+コア リーフ+スパイン
典型的な利用場面 比較的コンパクトな社内LAN 複数の建物などを結ぶ大規模LAN サーバー間通信が多いデータセンター
考え方の中心 上段の役割を統合して簡素化 役割を分担し、まとまりごとに拡張 全リーフを全スパインへ接続
確認すること 統合した上段の容量・影響範囲 集約単位・配線・運用の複雑さ ポート数・帯域・経路制御

利用場面は典型例です。キャンパスでファブリックを使う構成もあり、用途で厳密に線引きされるわけではありません。

「スパイン&リーフなら混雑しない」とは限らない

形だけで性能は決まりません。下側から集まる通信に対して、上側のリンクが足りなければ混雑します。

たとえばリーフのサーバー向けポートが合計48Gbps、スパイン向けが合計20Gbpsなら、帯域の比は48÷20=2.4:1です。全サーバーが同時にリーフの外へ最大速度で送ろうとしても、上側で全部は運べません。このような帯域比を考えるのが、オーバーサブスクリプションです。[5]

これは説明用の計算例で、実際の混雑は通信先・同時通信量・負荷分散などにも左右されます。「全リーフと全スパインが接続されている=常に混雑しない」ではない、と押さえておけば十分です。

リーフを増やすにもスパイン側の空きポートが必要で、スパインを増やすにも各リーフ側のポートや配線が必要です。無限に増やせるわけではありません。[2]

よくある疑問

アクセス層は必ずL2スイッチ?

必ずではありません。従来型ではアクセス層をL2とする構成がよく使われますが、アクセス層までL3を使う設計もあります。役割の名前だけで、L2/L3が一意に決まるわけではありません。[1]

スパイン&リーフは、コアとアクセスの名前を変えただけ?

役割が似る部分はありますが、名前を置き換えるだけでは説明しきれません。各リーフから全スパインへの接続、リーフ間の経路、ECMPなど、構成と転送方法も含めて考えます。

スパイン&リーフは必ず2層?

この記事は基本の2層を扱っています。大規模化すると、スーパースパインを加えるなど、さらに階層を持つ構成もあります。「スパイン&リーフは絶対に2層だけ」とは覚えないほうがよいです。[2]

覚えるなら、この3つから

  • 二階層:コアと集約をまとめる。
  • 三階層:アクセス・集約・コアで分担する。
  • スパイン&リーフ:各リーフを全スパインへつなぐ。

図を見たら、箱の数よりも「端末はどこにつながる?」「誰が誰を束ねる?」「宛先まで何を通る?」を順に追ってみてください。似た図でも、設計の意図が見えやすくなります。

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参考資料

公式の設計資料をもとに、初学者向けに役割と経路を整理しています。図は本記事用に作成した概念図で、実機構築用の配線・冗長化設計を網羅するものではありません。確認日:2026年10月21日。

  1. Cisco:Campus LAN and Wireless LAN Solution Design Guide(各層の役割、二階層・三階層、L3アクセス)
  2. Cisco:Massively Scalable Data Center Network Fabric Design and Operation(全リーフと全スパインの接続、ECMP、拡張の制約、多階層化)
  3. Juniper:Data Center Fabric Reference Design Overview and Validated Topology(リーフ・スパインとサーバーの接続)
  4. Juniper:IP Fabric Underlay Network Design and Implementation(等コスト経路とECMP)
  5. Cisco:Campus LAN Design Guide — Oversubscription ratios(上下の帯域比。本記事の48Gbps・20Gbpsは独自の計算例)

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